「Newsweek(国際版)」2022年2月18日号に掲載された「Japan’s digital construction pioneer(日本の建築DXにおけるパイオニア企業)」と題した記事には、オノコムは日本の建設業界のDXをリードする存在と記されていた。
なぜ、豊橋の中堅ゼネコンが「Newsweek」で取り上げられるほどのDX企業に変貌できたのだろうか。
当然ながらデジタルツールをどれだけ導入したところで、それだけでDXを実現できるはずはない。 なぜなら、いくら最先端のツールを導入しても、業務を改善したいという気持ちやこの仕組みはムダが多いという問題意識がなければ変革という成果は生まれないからである。ならば、デジタルを使うと業務がこんなに楽になる、リアルタイムで高精度の集計結果からいろいろな判断ができる、という仕組みをいくつも作りながら、杉浦CDOは自らデジタルの伝道師となり、全国を行脚した。
「全員の意識を一気に変えることはできません。だから、まず問題意識の強い社員、チャレンジできる社員、人望のある社員に的を絞り、クラウドを使ってもらいました。彼らに無理を強いる代わりに『わからないことがあれば、土日でも夜中でもサポートするから連絡してほしい』と伝え、1年間休むことなく、彼らが各職場のDXリーダーになるまで支え続けました」(杉浦CDO)
クラウドを使いこなせるようになった各職場のDXリーダーたちは、今まで見えていなかった無理・無駄を次から次へ見つけ出す。「誰に仕事が集中しているのか」、「工期遅れの原因は何か」、「なぜ経費が増えるのか」、すべて数字やグラフで可視化されたことで、一気に業務の効率化が進んだ。
経験と勘に頼っていた業務が可視化され、目標を達成するには『何ヶ月前までに外注監督を何人確保すれば良い』といった具体的な指標が明らかになりました。同じ職場で働いている仲間がクラウドを活用して成果を上げはじめると、周りの意識も変わりました。みんな自主的にクラウドを使いはじめ、目に見えて生産性が向上しました。恐る恐る使っていた社員にも『もっと使いたい』と言ってもらえるようになりました」(杉浦CDO)
なぜオノコムはDX企業になれたのか、その答えは、組織をフラット化し、一人ひとりの言葉に耳を傾け、丁寧な合意形成を重ねることで、自分が変われば組織も変わるという意識を醸成できたことにある。「DXの成功はトップダウンじゃなければ難しい」といった意見も耳にするが、オノコムはそれとは正反対の「ボトムからのスモールスタート」によってDXを浸透させた理想的な事例といえるかもしれない。
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