<前編>半身麻痺の僕に何ができるか、考えて、考えて、考えて、新しい仕事を創り出した。
「現場経験があるから一歩引いた視点で現場を見たとき、どこに問題があるか、どうすれば改善できるかが現場にいるときよりわかるようになりました。その問題や改善策を上に提案することで会社全体をより良い方向へ変えられる、それが今の仕事のやりがいです」と泉は話す。
新入社員として現場に入った頃は、仕事なんて全然おもしろくなかった。
「めちゃくちゃきついし、何やっているかわからないし、毎日泥だらけだし。でも、それを続けているうちに、今やっていることは後で必ず活きるって気付いたんです。影も形もない未来を想像しつつ一生懸命考えて行動して、それがうまくいったときの気持ちよさがわかったら、仕事が楽しくなりました」
現場では、施工計画書や報告書、鋼材の材質や品質を証明するミルシートなど、膨大な数の書類を作成しなければならない。現場担当者は、計画通り進んでいるかチェックしつつ、施工業者に指示を出し、安全に気を配り、問題があれば対処するなど、常に多忙なため書類を後回しにしがちだ。そのフォローをするのが泉だ。同時並行で進む現場の進捗を管理しながらGoogleドライブの書類を確認し、未処理ならば注意を促し、現場を後方支援する。
「検査の前段階で必要書類が更新されているかを事前チェックする僕の仕事は、現場を円滑に進めるためのセーフティネットなんです」
さらに、現場で起きたインシデントを参考にマニュアルを見直したり、社員のスキルアップ教育を検討したり、残業規制が厳しくなる中でみんなの働き方をチェックしたり、新入社員が孤立しないよう居場所をつくってあげたり、会社が少しでも良くなるよう陰になり日向になりオノコムを支える、それが泉の役割だ。
急成長を続けるオノコムの未来を、泉は以下のように予測する。
「ゼネコンとして、今まで以上にいろいろなプロジェクトを手がけると思います。ただ、人が足りない中でアクセルを踏み続けるのはリスクがあるのも事実です。もっと飛躍するには、一旦立ち止まる時期が必要ではないでしょうか。高く飛ぶには、思い切りかがむ必要があるって言いますから」
個人的な夢は「もう一回現場をやりたい」。最先端のテクノロジーを駆使すれば、ハンデがあっても現場監督に復帰できる可能性はある。その日を夢見て、泉は今日も困難を乗り越えて前へ、ひたすら前へ。
プロフィール
泉 友裕
2009年入社。技術本部統括技術主任
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