大手製造業の開発部門に10年間在籍し、多数の自動化/省力化/制御プログラムを開発後、ITベンチャーに転職し、バリバリのエンジニアとして20年を過ごした杉浦裕介は、小野からのオファーを受け、知識も経験もない建設業界に身を投じた。
その理由を問うと「ずっと製造系をやってきたので、『これをすると、ここでトラブル起きるよね』みたいに、すべて予測可能になってきて、飽きちゃったんですよ。もちろん建設業界のことは何もわかりませんが、知らない世界の方が、おもしろいかなと思って」と、杉浦は話す。
小野から「クラウドを活用すればリアルタイムで現場のデータを収集できると考え、全社規模でGoogleクラウドを導入したけど、誰も使いこなせない。ITベンダーに頼んでもパッケージが出てくるだけ。どうしたらいいか皆目見当もつかない。やり方は任せるから改革してほしい」と口説かれ「これはおもしろそうだ」と、杉浦は眼鏡の奥で瞳を輝かせた。
ここからオノコムのDX伝説が始まる。社内業務のフルデジタル化、3DCAD+フォトグラメトリーベースのVDC、フルデジタル施工技術、リモートBIMなど、前人未踏の地を切り拓くオノコムの先頭には、常に杉浦の姿があった。
しかし、その改革の道のりは決して平坦ではなかった。
「ONOCOM-ZINE」とは?
オノコムのIT活用を推進するiTeamsが自社を独自に取材し、事実に基きつつも適度に脚色を加えながらユルくお届けする情報発信メディアです。