建築の未来を変えるテングンって、なんだ?

建築の未来を変えるテングンって、なんだ?

オノコムが業界に先駆けて導入した建築生産メソッドVDC(Virtual Design and Construction)。それを支える重要な技術要素のひとつが「点群(テングン)」である。

「点群」とは、文字通り点の集まりで形成されるデータを意味し、建築業界のみならず製造業、運輸業、さらには自動運転、ロボティクスなど先進的な領域で利用が始まっている。「点群」は、3Dレーザースキャナー装置を利用して、対象物にレーザーを当ててXYZの座標と色情報を持つドット(点)を取得し、これを立体構成してバーチャルモデルを形成する技術である。

点群オペレーターと実施画像
(左)点群の実機。トレーニングを受けた数人のオペレーターにより慎重に運用されている。(右)周辺環境を数ミリ~数センチ間隔の「点」としてデータ化する。

VDCでは、現場の地形・敷地内の構造物、近隣の構造物、電線や樹木などを「点群」で取得し、そこに3DCADの設計データを連携させて、仮想空間上に施工物のバーチャルモデルを構築することができる。

「点群と設計データを組み合わせれば、外観・内観はもちろん、周囲の道路や建物、標識、樹木まで正確にビジュアル化できます。VRゴーグルをかけてバーチャルモデル内に入れば、内部を自由に歩き回ったり、360度あらゆる方向から閲覧したり、図面やパースでは確認できない細部までリアリティを持った体験ができます。バーチャルモデルは現実の座標を数ミリから数センチの誤差で再現していますから、建物と電線の干渉、駐車場の段差、看板の認識精度、工事車両の搬入経路などの検証にも有効です。特に効果を発揮するのは、クライアントへのプレゼンです。先日も世界展開されている企業の役員がVRを体験して感動され、『今後の店舗建設はオノコムに協力してほしい』とまで言ってくださったほどです」と、VDC推進室テクニカルマネージャーの林和弘は話す。

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オノコムのデジタル建築(ONOCOM VDC)を担うVDC推進室 Technical Manager 林 和弘(右)と、オノコムデザインセンター Design Architect 林 直人(左)。通称、W林。

「点群」を活用したバーチャルモデリングのメリットは、これだけではない。従来の設計業務に不可欠だった測量、設計図面、施工図面、積算書の作成工数が減少し、工期短縮・コスト削減にも貢献する。また、施工時に計測した点群データをクラウドに上げれば、世界中どこからでも施工状況を把握できる。さらに、施工後もバーチャルデータ上で改築、増築、稼働状況などのシミュレーションを行う、いわゆる「デジタルツイン」での建物管理が可能となり、運用コストの削減ならびに建物のリフォーム、運用改善を容易に実現できる。

点群で周辺環境をスキャンしたデータ
(上)建築予定地にて点群で周辺環境をスキャンしたデータ。一般的な測量データではカバーしきれない、あらゆる周辺環境情報を瞬時に把握できる。(下)点群データと3Dモデル組み合わせて、実現性の検証が可能。
屋内のスキャンも可能
(左)屋内のスキャンも可能で、生産施設などでの設備のレイアウトの検討や導線の改善などにも活用が検討されている。(右)狭小道路における車両の運搬効率の検証も可能。

バーチャルとリアルをつなぐ「点群」を活用したVDCは、建設業界の未来を変えると言っても過言ではない。

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