どうすれば建築は人の役に立てるのか、<br>ロランドは国境を超えて問い続ける。
Matus Roland インタビュー<後編>

どうすれば建築は人の役に立てるのか、
ロランドは国境を超えて問い続ける。

<前編>「世界から貧困をなくしたいロランドは、1回の握手でオノコム入社を決めた。」

建築にはそれほど興味はありません。興味があるのは人です」と、ロランドは話す。

「私は建築プロジェクトにおいて、常にどうすれば人の役に立てるのかという視点で、エクステリアやインテリアのデザインを考えたり、カラーリングを提案したり、店舗のお客さま動線を検討したりしています。だけど、建物が完成したらもう興味がなくなります。私は、常に新しいことにチャレンジして、1人でも多くの人の役に立ちたいのです

設立当初、現地社員が3人しかいなかったONOCOM Philippines Inc.は、ロランド着任後、業務が右肩上がりに拡大し、2023年には社員20人になった。フィリピンは、労働者が高待遇を求めて次々職場を変わるジョブホッピングが当たりの国なのに、ONOCOM Philippines Inc.の社員は誰1人辞めていない

2024年1月現在のONOCOM Philippines Inc.オノコムフィリピンメンバー
2024年1月現在のONOCOM Philippines Inc.メンバー
オノコム フィリピンオフィス ONOCOM Philippines Inc. office
現在のフィリピンオフィス。ロランドのアイデアで、日本らしい設えを随所に施した。圧巻の会議室の壁画はスタッフが手書きで作成したもので、現地スタッフのスキルと美意識の高さを表すシンボルになっている。

社員が辞めない理由について海外事業室の那須貴寛は「ロランドはチームビルディングに力を入れていて、毎週のようにみんなを誘ってバトミントンをしたり、卓球をしたり、ジムに行ったりしています。社員の仲が良く、仕事も遊びも一生懸命楽しめる環境があるから、誰も辞めないのだと思います」と語る。そのチームビルディングの原点についてロランドは「私はオノコムのカルチャーに影響を受けただけです。オノコムは、社員へのサポートや手当がすごく手厚いんです。例えば、ある社員が大きな病気をしたときも、後遺症があっても仕事ができるよう環境を整えたことに、私は心から感動しました。その素晴らしいカルチャーをフィリピンでも継承したい、そう思っているのです」と話す。

スタッフとのランチ風景
スタッフとのランチ風景

現在フィリピンでは3Dモデリングをメインの業務としながら、BIMの資格を持つ社員が5名、建築士が4名、土木エンジニアが1名おり、日本のサポートさえあれば設計施工までできるほど、社員のスキルが上がっている。

社員のスキルアップを背景に、ロランドはフィリピンでの事業拡大を進めている。2023年には、現地企業と合弁でProvidere Onocom inc.を設立して、現地での建築プロジェクトへ進出。さらに、リアルエステート事業を展開するOn’N’Onを運営しつつ、職業訓練校を運営するONOCCOでCSR活動にも取り組む。そのすべてのマネジメントをロランドが担っている。

私は今の人生に大変満足しています。その満足はオノコムに入社して得られたものです。でも、世の中には恵まれていない人たちがたくさんいます。その人たちの役に立つこと、それが、私の願いです」

米国で公民権運動を指導したかの有名なキング牧師が語った「人生で最も永続的かつ緊急の質問は、『あなたは他の人のために何をしていますか?』です」との言葉、それが人生の指針だとロランドは話す。

ハンガリーから日本、そしてフィリピンへ、国境を超えたロランドの冒険はこれからも続く。

Matus Roland (マトゥス・ロランド)

プロフィール

Matus Roland (マトゥス・ロランド)

2018年入社。ONOCOM Philippines Inc.ゼネラルマネージャー

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