フィリピンでも「なければつくる」、
会社も、家も、学校も
「来週、フィリピンへ行くけど、誰か一緒に行く?」と、社長が唐突に声を掛けた。誰もが?マークを浮かべて顔を見合わせる中、「行きます!」と手を挙げたのは、入社7年目設計部のホープ那須貴寛だった。
翌週、早速フィリピンへ。日本人が経営するCADセンターなどの視察を終えた後、社長は「那須のやりたいようにやっていいよ」と、いきなり豪速球を投げつけた。この豪速球をがっちり受け止めた那須は、自ら荊の道へ全力で駆け出した。
2017年、現地社員3人を採用し、ONOCOM Philippines Inc.を設立。日本で設計部が作成した図面データや測量データなどを「SketchUp」に取り込み、バーチャルモデルを作成する業務をスタート。現地採用したスタッフは驚くほどのスピードで成長を遂げ、あっという間にオノコムのDXに欠かせない存在となった。2018年には、ゼネラルマネージャーのロランドが着任。広いオフィスへ移転し、社員を増やし、現地の建設ニーズを取り込んで独自の事業をスタートさせた。
ロランドは、現地の建築会社6,846社をリストアップしてフィルタリング、3年間で2社まで絞り込み、デューデリジェンスを実施して2024年1月には現地企業との合弁会社Providere Onocom Inc.を設立した。現在、この会社を通じて現地での建築プロジェクトが始まっている。日本を離れても「なければつくる」で、オノコムは新たな地平を拓き続ける。
フィリピンの「なければつくる」は、教育にも目を向ける。2018年、教育や就労の機会を得られない子どもたちのためにONOCCOプロジェクトを立ち上げ、職業訓練を行なう学校を設立した。
「現地の子どもたちに日本語や日本文化、職業訓練などのプログラムを提供し、希望者には日系企業を紹介しています。良い仕事に就きたいフィリピンの人々と、人材不足に悩む日本、両方の課題をクリアすることを目指します」と、ロランドはプロジェクトの目的を話す。
また2024年現在、ONOCOM Philippines Inc.では、ロランドの着想から新たな「なければつくる」プロジェクトが産声を上げようとしている。
「まだ、検証段階ですが、コンクリート3Dプリンタを使った住宅供給に取り組みたいと考えています。人口増加が続き住宅需要が高まっているものの、価格が高くて購入できない人々向けの住宅を供給する予定です。3Dプリンタを使えば、人手をかけず短納期で施工できるので、現地の建設会社との価格競争に勝てると思います。これが成功すれば、さらにおもしろい世界が待っていると思います」と、那須は目を輝かせる。
未来の住宅も「なければつくる」、いかにもオノコムなプロジェクトが今、始まろうとしている。
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