ようこそパラレルワールドへ。<br>建築プロジェクトの常識を変える3D GS

ようこそパラレルワールドへ。
建築プロジェクトの常識を変える3D GS

SFの世界では、タイムスリップして過去に干渉した結果、本来の世界とは分岐した異なる世界線が生じる物語がよく描かれる。この現実世界と同時並行で存在する異世界を「パラレルワールド(並行世界)」と呼ぶ。

もし、パラレルワールドへ自由に行き来でき、異世界で行った実験の結果を現実世界にフィードバックできたら、世界は飛躍的な進化を遂げるに違いない。そんなSFみたいな話が、今実現しようとしている。

パラレルワールド的な世界を実現する技術は「デジタルツイン」と呼ばれている。デジタルの双子(ツイン)との言葉通り、実在の建物や建造物、街並みなどを正確にデジタルデータ化し、バーチャル空間で3Dモデルとして再現する技術だ。デジタルツインの構築は、建築業界にさまざまなメリットをもたらす。

例えば、大地震が起きたときの建物への影響や、店舗レイアウト変更後の顧客動線の変化、高層建築物による景観への影響、設備故障時の影響範囲など、実在の建物や都市では検証不可能な事象をバーチャルな世界で検証し、最適な結果を現実世界に適用できるのである。

オノコム独自のデジタル建築メソッドONOCOM VDC(Virtual Design and Construction)は、以前から点群やフォトグラメトリ(写真による3Dモデル化技術)などの技術を採用し、建物や景観をバーチャル空間で再現するデジタルツインを実用化してきた。しかし、従来の技術ではデータ量が膨大過ぎて、高性能コンピュータでなければ快適な体験を実現できないという課題があった。実際の案件で活用できるデジタルツイン技術を持っているにも関わらず、利用環境によっては満足できるユーザービリティが悪くなることもあった。

映像は、3D GSを活用したデバイスでスキャン・生成した自由視点の3Dビュー(デモとしてオノコム本店を撮影)。スキャニング後、短時間で高精細なこうしたデータを生成可能だ。

2023年、この課題を克服する画期的な技術が発表された。「3Dガウシアン・スプラッティング(以下、3D GS)」と呼ばれる技術は、動画から3Dで特徴点を抽出し、ガウス(ぼかし)をかけたデータを並べて3Dモデルを生成することで、高速かつ滑らかなレンダリング(描画)を可能にする。

「わかりやすく例えると、Googleマップのストリートビューのように自由視点でどこでも移動する体験を可能にする、そんな技術です。AIの推論をベースにモデルを生成するのでデータ化が難しい自然物でもリアルに生成できハンディスキャナで撮影するだけで図面がなくても正確なモデルを作成できます。3D GSを導入すればオノコムのVDCは飛躍的に進化します」と、VDC室のTechnical Manager林和弘は話す。

豊橋に生まれ、日本を超え、世界へ活躍の場を広げてきたオノコムは、いよいよ現実を超えたパラレルワールドで新たな価値を創造しようとしている。

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